フリーズドライの原型はインカ時代にじゃがいもを冬場の低温、高地のための低圧状態で保管して作られていたチューニョと呼ばれる保存食がルーツ と考えられております。
1813年イギリスの科学者William Hyde Wollastonが英国王立学会に「昇華」について報告したことが記録されています。1910年には機械式真空ポンプを使ったフリーズドライ装置の原型が設計され、第二次世界大戦中にアメリカで血漿や医薬品をフリーズドライする技術が検討され、大戦後その技術を食品へ応用するようになりました。
1963年にOregon Freeze Dry Foods, Inc.が創立され、フリーズドライのイチゴを朝食シリアル向けに製造するようになりました。その後、ベトナム戦争が始まり米軍の軽くて長持ちする糧食を開発して欲しいというリクエストに応えフリーズドライ糧食の供給を開始、さらにNASAの宇宙飛行士にも地上のレストランと同じような美味しい食事を食べさせたいというリクエストに応え、フリーズドライ宇宙食の開発に着手、アポロ計画でフリーズドライのシュリンプカクテルやアイスクリームを初めとする様々な宇宙食が開発されました。
日本には1960年代の後半に技術が伝わり、70年代にカップヌードルやお茶漬けの具として用いられたことがきっかけで広まりました。
現在では非常食から日常一般的に食される加工食品の素材、お菓子だけでなく、分子調理法で有名なレストランでフリーズドライのフォアグラが使用されるなど、幅広く利用されるようになりました。