食品の賞味期限

食品には賞味期限か消費期限の表示が義務づけられています。どうして期限が必要なのか?その設定根拠は何?期限表示に責任を負うのは誰?についてまとめてあります。

食品に関する2つの期限:賞味期限と消費期限

消費期限と賞味期限

日本では一部の例外を除き全ての加工食品に期限表示が義務づけられています。商品の特性に応じて「消費期限」か「賞味期限」のどちらかを表示しなければいけません。

  • 「消費期限」は主に数日で腐敗する、品質が劣化し安全にお召し上がり頂けなくなるおそれがある食品で、定められた方法で保管されていた場合に安全に食べられる期限を示すもので、アメリカの食品では「Use By」などと表記されています。
  • 「賞味期限」は日持ちがする食品で、定められた方法で保管されていたに期待されている品質が保持できる(=安全でおいしい)期限であり、アメリカの食品では「Best Before」や「Best If Used By」、「Expiration Date」などと表記されています。

※ 賞味期限を越えたからすぐに安全では無い、食べられないという訳ではありません。賞味期限内であっても保存方法・保存状態が適切で無かった場合品質が低下しておいしくなくなる、あるいは腐敗するなど安全でなくなる可能性もあります。

賞味期限はどのように設定されているの?

食品は保管時間の経過と主に

  • 微生物の増殖による劣化(変敗・腐敗)
  • 乾燥や吸湿などによる物理的な性質(食感など)の劣化
  • 酸素により油脂やその他の成分が酸化されることによる劣化
  • 酸化以外の化学反応(酵素反応や加水分解など)による劣化

により品質が劣化していきます。


どのような劣化をするか、また劣化の速度は食品や包材、加工の仕方などにより大きく異なります。ですから、賞味・消費期限を設定するためには

  1. これ以上劣化すると安全性が損なわれる(消費期限の場合)、あるいは製品の価値が損なわれる(賞味期限の場合)限界点と、劣化に影響を与える要因を定める。微生物の数であったり、風味・外観の官能評価やpHであったり製品の特性により様々な要因が考えられます。食品によっては食品衛生法などで公的に基準が定められているものもあります。
  2. 製造直後と掲示保管後のサンプルで微生物試験、理化学試験や官能試験などの試験を行うと共に、これまでの製品開発、製造、販売などの事業活動で蓄積した経験・知識を組み合わせ、限界点を定める。
  3. 原料・製造などのばらつきや、保管・流通・お客様がご購入後の環境のばらつきを踏まえ、限界点に安全係数を掛けて消費期限・賞味期限を設定する。

のが一般的です。

消費・賞味期限設定の考え方

なぜ「期限」が必要なのでしょうか?

期限の設定には食品などの特性、品質変化の要因や原材料、加工条件など科学的・合理的に判断する必要があります。そのため、その食品・製品を一番よく知っている者;

  • 製造業者・加工業者あるいは販売業者
  • 輸入食品の場合、輸入業者

が責任を持って期限表示を設定し、表示することが求められています。ただし、商品アイテムが膨大であったり、商品のライフサイクルが短いなどの場合には特性が類似している食品の試験検査を参考にすることにより、期限を設定することも可能と考えられています。

オレゴンフリーズドライ (OFD) の超長期賞味期限マウンテンハウス(Mountain House®)製品では実際に50年年経過したサンプルの微生物、栄養成分、官能評価などの試験を行い、30年経過した後も十分にその品質・価値が保たれていることを検証し安全係数を考慮して30年という期限を設定しています。

また製造を開始した当初から今日に渡るまで50年に渡り様々な食品素材やそれを組み合わせた食品を同様に保管・検査してどのような組み合わせでどのように品質が劣化するか情報と経験を蓄積し、現在ではメニュー開発時にその素材やレシピから設定した30年の間品質を保てるかどうか判断することが可能となっています。そのため新製品を実際に30年間保管すること無く、賞味期限を設定できるようになりました。

30年の賞味期限の秘密

オレゴンフリーズドライのマウンテンハウス製品は自社開発した特殊高バリア性包材に脱酸素剤と一緒に充填しています。微生物による腐敗も酸化による劣化も理論上起こらないことから、合成保存料や添加物に頼ること無く超長期の賞味期限が可能となります。

製品開発からお客様の手元に届いた後まで、様々な段階でチェックしています

オレゴンフリーズドライでは製品の賞味期限を

  • 製品開発段階:研究開発段階から素材や半製品などを様々な条件で試験し、どのような特性が最も影響し、どのような変化をするかを確かめます
  • 本試験:製品と同じ仕様のサンプルを様々な条件で保管し、過去の類似製品のデータと比較したり、官能評価パネリストによる評価などを経て30年の賞味期限を保つことができるか確かめられます。実際に40年保存した製品を外部機関に委託し、官能評価試験を行っております。
  • 販売商品での確認:商品を市場・店舗から購入したり、お客様よりご提供を受けたりして長期間保管された製品の品質を確認します

の3つの方法で確認しています。

実際に40年保管された製品の品質を確認しています

オレゴンフリーズドライは1968年に製造を開始して以降、毎年製品サンプルを保管してきました。そして定期的にそれらのサンプルの品質を外部機関での品質検査や社内外のパネリストによる風香味の評価試験などを行い、実際に超長期の賞味期限を経過した後でも美味しく召し上がって頂けることを確認した上で、現在30年という賞味期限を設定しています 。

40年保管後のたんぱく質比較
40年保管後のβカロテン比較
40年保管後の水分比較

2005年11月には1975年2月に製造し30年保管したサンプルと、2005年10月に同じ配合にて製造したサンプルの栄養成分、風香味の試験を行いました。30年前と比べると使用した食品素材の産地や栄養成分自体が異なっていますが、30年経過後も栄養成分がきちんと保持されていることが判りました。

特に酸化されやすいβカロチン(β-カロテン)でも若干減少はしていますが、40年保存してあった製品でも酸化されずに残存していることが確認されました。

また、30年経過したサンプルでも水分が0.85%とまったく吸湿しておらず、この状態では微生物の増殖も食感の劣化も起こっていないことも確かめられました。

2015年には同様に40年保管下サンプルで検査・調査を行い同様に問題ないことを確認しています。マウンテンハウス®は40年経過後も品質や安全性に問題は無く、安心してお召し上がり頂けることが判りましたので、賞味期限をこれまでの25年から30年に延長いたしました。

サンプルを保管している弊社の研究開発センターの特設保管庫は夏場は30℃、冬場は0℃近くにまで温度が変動し、通常の家庭や自治体での保管状況と似通っていることから、実際の保管環境下でも同様のパフォーマンスが期待できます。

品質と安全性

pdx tradingが取扱う製品はFSSC認証などお客様の要望にお応えできる品質マネージメントを行っている委託工場で生産しています。


品質と安全性

賞味期限とは

食品にはその性質によって賞味期限と消費期限のどちらかを表示することが義務づけられています。それら期限はどのようにして設定されているのでしょうか?


消費期限・賞味期限

水分と賞味期限

フリーズドライ食品は水分が極めて低くそのままでは腐敗しません、しかし吸湿しやすいため通常の食品とは異なる賞味期限の設定根拠と確認が求められます。


水分と賞味期限

酸化と賞味期限

フリーズドライ食品は表面積が大きくなるため湯戻りが早いという利点と同時に酸化されやすくなります。そのため通常の食品とは異なる賞味期限の設定根拠と確認が求められます。


酸化と賞味期限