本当に長期保管に耐え得るのはどの非常食か?賞味期限と酸化の影響

アメリカを中心に様々なブランドが「賞味期限○○年」を謳っています。その全てが本当に品質を保つことができるのでしょうか?疑問に思った私達はアメリカで販売されているフリーズドライ食品のパウチ製品を実際に購入し、第三者機関で調べることにしました。その結果は驚くべきものでした。

賞味期限とは?

私達が56年前に初めてマウンテンハウス製品を発売した当時、アメリカ・日本には賞味期限に関する法規制はありませんでした(アメリカは今でも粉ミルクとある種のベビーフード以外では賞味期限表示は必須ではなく、自主表示となっています。州によって異なる基準を設けている場合もあります)。

賞味期限は一般に食品が推奨される保管状況で保管された際に、その品質を保つことができる期間=美味しく召し上がって頂ける期間で、微生物による腐敗、酸化や風香味の劣化、外観・色の変化などを総合的に判断して製造者あるいは販売者(輸入製品の場合は輸入者)により定められます。賞味期限についての詳細は下のリンクから「消費期限・賞味期限」をご覧下さい。

消費期限・賞味期限

一般的には推奨される保管状況よりも早く劣化が進む37℃で保管したサンプルを検査して賞味期限が設定されます(加速経時試験)。私達はマウンテンハウスブランドで販売しているパウチ製品・金属缶製品ではいずれも製造後30年の賞味期限を設定しています。

そのような長期間の賞味期限は加速経時試験では判断できません。賞味期限を設定するためには、どのような検査が必要なのでしょうか?

フリーズドライと賞味期限の関係

フリーズドライとは、水が低温・極低圧では凍った状態で氷自体が蒸発する「昇華」と呼ばれる現象を利用して、食品中の氷を、液体の水に変えることなく氷のまま水分を除去することで食品を乾燥する技術です。身近な例では二酸化炭素が凍ったドライアイスは溶けて液体になることなく蒸発する現象が昇華です。

フリーズドライとは?

食品を腐敗させる微生物は水がないと生きていくことができません。フリーズドライ食品は水分が極めて低く、微生物による腐敗のリスクも非常に低くなります。そこで、私達は腐敗ではなく、食品の酸化による風香味の劣化がもっとも賞味期限に影響を及ぼすと考え、それぞれのパウチの残存酸素量を調査しました。

アメリカを中心に様々なブランドが「賞味期限○○年」を謳っています。その全てが本当に品質を保つことができるのでしょうか?

疑問に思った私達はアメリカで販売されているフリーズドライ食品のパウチ製品を実際に購入し、第三者機関で調べることにしました。その結果は私達の予想を大きく上回るものでした。

パウチの残存酸素量の結果

~1社を除いて全て長期保存に適さないとの結果が

ブランドにより残存酸素量は大きく異なる

アメリカで販売されている非常食・長期賞味期限アウトドア食品の各ブランド30袋を購入し、残存酸素量を外部機関で分析しました。

その結果、

  • OFD社マウンテンハウスブランドの製品だけが全ての袋で残存酸素量が3%未満(平均1.42%)でした。
  • その他のブランドでは平均残存酸素量が3%を超えました。

※アメリカ軍の糧食の要求規格では2%以下が求められています。

「いざというときに、ほっとできるおいしさを」
本当に長期保管に耐え得るのはどのブランドか?

各ブランド製品30袋の残存酸素量のばらつき(標準偏差値)を測定しました。ばらつき(標準偏差)は製造工程の正確性・信頼性を表しています。

ばらつきが小さいほど、全ての袋で安定した品質が保たれていて、表示している賞味期限を適切に達成できることになります。ばらつきが大きい製品ブランドでは、製造工程で安定して包装・充填ができていないか、包装資材の酸素・水分バリア性能が低く、製造後に酸素や水分が袋内に透過した可能性が考えられます。

そのためある袋では水分が低いのに、他の袋では非常に高いなど品質が不安定となり、長期間の保管で品質を保てるか不安と言えます。

「4つ購入して、災害時に食べようと思ったらその内3袋は嫌な臭いがして食べられなかった」など災害時に食べられる製品であるからこそ、個々の製品のバラツキはできる限り少ない方が良いと言えます。


製品の残存酸素量

(サンプル数:各30)

食品を酸化させる残存酸素が多いと、長期間の品質保持が難しくなります。


各ブランド製品の残存酸素量比較

食品は腐敗や成分の酸化・劣化により品質が低下します。フリーズドライ食品は水分が極めて低く、適切な包装がされていれば腐敗の心配がありませんので、どうやって酸化・劣化を防ぐかが長期保存では重要になります。

各ブランド30袋の残存酸素量を外部機関で分析しました。マウンテンハウスの製品だけが全ての袋で残存酸素量が3%未満(平均1.42%)でした。アメリカ軍の糧食の要求規格では平均2%以下が求められています。それ以外のブランドでは残存酸素量が3%を超える袋がサンプルの10%以上で見つかりました。数年程度の保管では品質の劣化はあまり進まないかもしれませんが、10年・20年といった長期間の保管後には品質に大きな影響があると予想されます。

製品の残存酸素量(平均値)

製品の平均残存酸素量

マウンテンハウスの製品だけが全ての袋で残存酸素量が3%未満(平均1.42%)でした。それ以外のブランドでは残存酸素量3%未満の袋もありましたが、包材の密封がきちんとできていない・ピンホールなどで外気が流入している袋などもあり、平均値が全て3%を超える結果となりました。

製品中の残存酸素量のばらつき

製品中の残存酸素量のばらつき

また30袋の残存酸素量のばらつき(標準偏差)についても調べました。標準偏差は製造工程の正確性・安定性・信頼性を表しています。

ばらつき(標準偏差)が小さいほど、全ての袋で安定した品質が保たれていることを示しており、表示されている賞味期限を適切に達成できる見込みが高くなります。

一方ばらつき(標準偏差)が大きい場合、製造工程で安定して包装・充填ができていないか、包装資材の酸素・水分バリア性能が低いか包材が脆いために、製造後に酸素や水分が袋内に浸入した可能性が考えられます。このような製品では表示されている賞味期限を達成できる袋と、そうでない袋が発生してしまいます。

私達がマウンテンハウスを作り始めて48年。当時製造した製品、またフリーズドライした素材そのものを保管し、定期的に成分や安全性、風香味を実際に検査して確認をしてきました。それらを積み重ね、

私達は実際にパウチ・缶で40年を経たサンプルを検査・試食・評価して賞味期限を定めました。

非常食・備蓄食はいざというときに劣化していては全く意味がありません。同じようなパッケージやデザインでもその性能は大きく異なります。私達は「いざというときでも、ほっとするおいしさを」提供することを企業ミッションに掲げ、安心できる備蓄食を皆様にお届けできるように情熱を注いで製造しています。非常食・備蓄食を選ぶ際には価格や見た目だけでなく、「本当にいざというときに安心して食べることができるのはどのブランドか?」を考えて選んで下さい。

今回の分析はアメリカ・カリフォルニア州の包材メーカーの研究所に分析を依頼しました。分析結果はこちらからご覧頂けます(英文)。

アメリカOFD Foods社(オレゴンフリーズドライ社)Mountain Houseブランドサイトのブログでのレポート(英文

品質と安全性

pdx tradingが取扱う製品はFSSC認証などお客様の要望にお応えできる品質マネージメントを行っている委託工場で生産しています。


品質と安全性

賞味期限とは

食品にはその性質によって賞味期限と消費期限のどちらかを表示することが義務づけられています。それら期限はどのようにして設定されているのでしょうか?


消費期限・賞味期限

水分と賞味期限

フリーズドライ食品は水分が極めて低くそのままでは腐敗しません、しかし吸湿しやすいため通常の食品とは異なる賞味期限の設定根拠と確認が求められます。


水分と賞味期限

酸化と賞味期限

フリーズドライ食品は表面積が大きくなるため湯戻りが早いという利点と同時に酸化されやすくなります。そのため通常の食品とは異なる賞味期限の設定根拠と確認が求められます。


酸化と賞味期限